「ありがとう。
でも負けちゃったけどね。」
苦笑しながら私は言った。
「そんなこと言わない。
本当にすごかったんだから。
結果は関係ないのよ。
お父さんって褒めてたのよ?」
「え?そうなの?」
お父さんが褒めてくれたなんて、驚いた。
絶対にないと思ってた。
私には興味がないとずっと思ってたから……
「優梨。」
前に座るお父さんが、私の名前を呼んだから前を向く。
「今までよく頑張ったな。
お疲れ様。
これからは受験だが、バスケ同様頑張るように。」
その言葉がお父さんらしくて、だけどそれ以上に嬉しくて涙が出てきた。
もー、なんで泣くのってお母さんに笑われる。
だってね。
お父さんが微笑んだんだ。
普段笑わない、あのお父さんが
『頑張ったな』ってほしい言葉をくれながら。