本当に、颯汰には感謝しかない。
こんな私の考え方を変えてくれた。
「颯汰。」
「ん?どうした?」
「ありがとう。」
突然私がお礼を言ったから驚くかなと思ったけど、颯汰に伝わったようで笑顔を浮かべていた。
「どういたしまして。」
その颯汰の笑顔、なんとなく好きだなって思った。
優しくて、見ているこっちも温かくなるくらいの笑顔。
その底抜けの明るさに人を惹きつける。
まだ颯汰と出会って一ヶ月ちょっとしか経ってない。
だけどその一ヶ月で颯汰がどんな人柄なのか、十分すぎるくらいわかった。
………と、この時の私は勝手に思い込んでいた。
そう、違うかったんだ。
颯汰はこの時もずっと、隠してた。
自分の感情を。
この明るさや優しさが颯汰なのは確かなんだろうけど………
心の奥深い場所で、颯汰はずっと苦しんでいたんだ。



