「もー、まだ試合前なのに泣かないでよ。」
いつのまにか、三年全員が私の元へとやってきた。
恥ずかしい。
だけど涙は止まらない。
「こんなに泣いて引きずらないでね?
優梨にはバンバン点数入れてもらわないと困るんだから。」
「う、ん……引きずらないよ。
試合、頑張ろうね……!」
「そうこなくっちゃ。
後悔ないように頑張ろう。」
今はみんなバラバラに感じなくて、まとまったような気がした。
ちゃんと言って、伝われば
一つにまとまるのだ。
なら最初から向き合うべきだった。
でも後悔なんかなくて、今この瞬間、引退する前に気づけただけでも良かったのかもしれない。
私たちの前の試合の終了合図が鳴った。
ウォーミングアップが始まる。
ちゃんと、活躍しよう。
というより全部出し切ろう。
そう心に決め、私はコートへと足を踏み入れた。



