「どうしたの?」
思い返せばこうしてお父さんから話しかけられて、目を合わせて話すのは珍しいから緊張する。
「……ちゃんと見てるから、後悔しないように頑張るんだぞ。」
お父さんはそれだけ言って私から視線をそらし、ギャラリーの方へと言ってしまった。
「………ふふ、お父さんも照れ屋なのね。」
お母さんはそう言って笑った後、頑張ってねと私に言ってお父さんの方へと行った。
お姉ちゃんも後についていき、私は一人と取り残される。
だけど今は孤独感とかそういうのが一切なくて、ただただ心が温かくて……
「優梨?
……って、どうしたの!?
なんで泣いてるの!?」
「………っ、ご、ごめん……」
勝手に涙が溢れてくる。
今は嬉し涙。
ちゃんと見てるって、頑張れって
中学の引退試合でずっと言ってほしかった言葉。
それを高校の引退試合で、今までのバスケ人生が終わるこの日に言われたのだ。
嬉しくて、涙が止まらない。



