声のした方を向くと………
「………っ、」
言葉が出なかった。
お父さんとお母さん、それからお姉ちゃんまでが入り口付近に立っていたのだ。
急いでそっちの方に向かう。
来てくれたんだ。
「ごめんね、遅くなって。
まだ試合は始まってないわよね?」
「うん、大丈夫だよ。
来てくれてありがとう。」
来てくれた、それだけで本当に嬉しくて
今日この日のためにバスケを続けてよかったって本気で思えた。
「そんなの、優梨の引退試合なんだから当たり前でしょう。」
「優梨、頑張ってね!」
いつもは悪い意味で家族の言葉に苦しくなって、一人閉じこもっていたけど今は違った。
「優梨ー。
そろそろストレッチ始めるよ。」
「あ、わかった!
すぐ行く。」
キャプテンに呼ばれたから、急いで戻らないと。
そう思い、最後家族に
「頑張ってくる!」と言って行こうとしたら……
「優梨。」
と、落ち着いたお父さんが私の名前を呼んだ。



