少しの間沈黙が流れる。
きっとお母さんはお父さんの言葉を待ってるんだ。
気まずい、逃げ出したい。
その気持ちを抑えて、手をぎゅっと握るとお父さんがようやく口を開いた。
「何時からだ。」
それはほぼ肯定に近い返し方だったから、嬉しいかった。
「正確には決まってないけど午後からだよ。」
「そうか。
午前は日曜だけど仕事の都合で会社に行かないといけないから、それから間に合ったら行く。
お母さんはいけるのか?」
「私は大丈夫です。」
お母さんはそう言って優しく微笑んだ。
その瞬間、涙が出そうになったけど必死で抑えて「ありがとう。」と返事した。
ちゃんと、言えた。
来てほしいって。
それで二人は行くと言ってくれた。
少し断られそうな気もしていたから余計に嬉しかった。
これは、チャンスだ。
私が唯一頑張ってきたバスケをみせられるから。