ーーー「ただいま。」
お父さんが、帰って来た。
だんだんと緊張してきた。
いざ言うとなれば、緊張して噛んでしまいそう。
でも、決めたんだ。
ちゃんと言うって。
颯汰とも話したんだから、今日を逃してしまえば一生言えない気がする。
お父さんがご飯を食べた後、ソファで静かにテレビを見ながら仕事の書類を読んでいた。
ちょうどリビングにお母さんもいたから思い切って口を開いた。
「お父さん、お母さん。」
少し声が震えるけど仕方ない。
「どうしたの?」
と、お母さんは聞いてくれたけどお父さんは静かに私を見るだけ。
一瞬怯みそうになったけど、言うんだ。
「二週間後の日曜日、引退試合があるんだけど観に来てほしいの。」
……言えた、言えたよちゃんと。



