「だから俺も行くんだよ。」
颯汰の目に迷いはなくて、本気だった。
多分本気で来るつもりなのだろう。
その気持ちは嬉しい。
私のためにそこまでしてくれて。
だけど、迷惑はかけられないし本当に家に来たらやばい気がするから……
決心しろ自分。
『引退試合を観に来てほしい』と言うだけなんだから。
「私、一人で言える。
ちゃんと自分の口から言うよ。」
決心してしまえば迷いは薄れていった。
「……本当に?」
「うん。」
颯汰から視線をそらさず、じっと見つめれば颯汰は頬を緩めた。
「わかった。」
颯汰は確かにそう言ったのに、何故かまだついてくる。
「ねぇ、私一人で言えるっていったよね?」
「うん。」
「じゃあなんでついてくるの?」
「別に、降りたついでだし送るよ。それに一人で帰らしたらその決心揺らぐかもしれないだろ?」
どうやら颯汰は心配性らしい。
その中にも優しさが伝わってくるのだけど。



