ーーーそれから私の家の最寄りに着き、颯汰にまた明日と言って電車から降りた。



と、思っていたのに……



「ねぇ、なんで颯汰も降りたの?
電車行ったけど。」



何故か颯汰もついてきた。



その謎の行動に、私は理解できない。
颯汰の行動はいつだって予測不可能だ。



「この間さ、引退試合の話少しだけしただろ?


あの時の優梨みて、なんとなく思ったんだけど………


優梨、親に引退試合観に来てほしいって言ってないだろ。」



颯汰の言葉は当たりだったから素直に頷く。



だって言えない。



無理と言われるのも怖いし、何より今までの頑張ってきたことを否定されたらって思うと怖い。



中学の時もそれで来てほしいって言えなかった。



だけどいつどこで引退試合があるのか、お母さんに聞かれたから少しは期待してたんだ。



もしかしたら来てくれるかもって。



でも来てくれなくて、悲しくなったけどその時は仲間たちと一緒に全部出し切って頑張ろうって思えた。



だから後悔なんてなかったし、同時にまだ辞めたくないって思った。



なのに家に帰ったら、バスケを続けることでさえも無理かもしれないことがわかって高校ではできないと諦めていた。



それでも今はできてる。



中学からの積み重ねでここまで来てる。



もうさすがに大学ではやるつもりないから、次の試合が本当に最後なんだ。