それなのに颯汰は普段の明るさとは真逆の、落ち着いた感じで話し出した。
「優梨……それはどうでもいいんじゃなくて逃げてるんだよ。」
どうでもいいんじゃなくて、逃げてる。
私は逃げてるの……?
颯汰に言われるまで、そんなこと考えたことがなかった。
全部どうでもいいと決めつけていた。
「それに俺と優梨はやっぱり似てる。
俺もそんな考え方、してた。」
「え………?」
それは予想外で、冗談だと思ったけど颯汰の表情、声音が本当だと物語っていた。
「でも、優梨はまだ間に合う。」
まだ、間に合う。
……まるで自分は間に合わなかったような言い方。
でも、間に合うって何?
どうしたらいいの?



