「お姉ちゃんがいるんだけど、私より賢くていつも比べられるの。
私は出来損ないだっていうように。
それで家が嫌で、だからといって学校でも友達がほしいって思わなくて、相談したいとも思わなくて全部どうでもよくなった。」
私が話してる間、颯汰は静かに聞いていてくれた。
「だから高校は三年間しかないし、上辺の関係でいいやってなって。
好きだったはずのバスケも嫌になってきて、辞めたいって思った。
でももうすぐ引退だから、今は“引退した”っていう肩書きが欲しくて続けてるようなものなの。
別に勝ち負けもどうでもよくなって、結局今自分が何をしたいのかわからなくなってる。
これが、私だよ。
颯汰とは全然違う、ていうか真逆じゃないかな。」
そう言って私は笑ってみせるけど、颯汰の表情は変わらない。
今のは笑って、重くしてしまった空気を飛ばしてほしかった。



