少し前まであんな嫌だったのに、今はその気持ちもだいぶ和らいだ。
だからといって馴れ馴れしくされるのは嫌だけど。
周りの誤解とかも含めて。
「なぁ。」
「なに?」
二人で並ぶ少し薄暗い帰り道。
颯汰が口を開いた。
「俺、引退試合観に行くことにした。
今日の優梨見て、余計行きたくなった!」
「……は?」
突然なにを言い出したかと思えば、引退試合に観に行きたいって?
そんなことしたら目立つじゃん!
「余計誤解広まるから無理!」
「いいや、大丈夫。まだ会って間もないんだから時間が経てば友達だって思われるようになる。」
思われるようになるって、絶対じゃないでしょ。
「だから俺は行くからな。
優梨の頑張ってる姿見るの楽しみにしてる。」
頑張ってる、姿……。
それを見せられるかどうか、正直不安があって何も返せなくなる。