「彩花先輩、引退しちゃ嫌だー!」

「陽菜先輩、あとでファイルにメッセージ書いてください!」

「真衣先輩、いつでも遊びに来てくださいね!」

「菜穂子先輩、今までありがとうございました!」


 音楽室に戻るなり、2年生、1年生が自分のパートの3年生に抱きつく勢いで近づいていき、各々の気持ちを伝えていく。

 3年生も、泣きながら後輩の気持ちを聞いていく。

 まだ学校で会えるとはいえ、部活に先輩がいなくなるという寂しさはよく分かる。

 俺も、先輩たちが引退したときはとっても悲しかったから。

 今まで当たり前だった日常が変わる。

 それが、悲しいのだ。

 3年生がいなくなった音楽室は、ひどく殺風景で、寂しくて。

 それが、なんとも言えない気持ちにさせてくるのだ。