「先輩が引退しちゃったら、悲しいです」
「僕も引退するのは悲しい。それに、優衣ちゃんみたいないい後輩の隣でバリサク吹けなくなることも悲しい」
玄蔵先輩は私に悲しそうな笑顔を向ける。
そんな笑顔、見たくない。
そんな笑顔、似合わない。
先輩は、いつもの太陽みたいな笑顔が似合うんだから。
いつもみたいな笑顔が見たい。
「……先輩だけは今すぐに引退しちゃっても大丈夫ですよ」
「え、それ何気にひどくない?!」
「冗談です。それくらい分かるでしょう」
「冗談にしてもきついわ……まあそういうこと言うのも優衣ちゃんらしいけどね」