私は玄蔵先輩にとっていい後輩でありたかったし、玄蔵先輩も、私にとっていい先輩でありたかったに違いない。

 自意識過剰だと言われても、構わない。

 先輩の隣で笑えるだけで楽しかった。

 先輩と一緒に成長出来たのが嬉しかった。


『友達のような先輩後輩』


 この関係が、心地よかった。

 この位置にいられるのは私だけだって、先輩が1番頼りにしている後輩は私だけだって、思ったから。

 そして年度が変わり、玄蔵先輩が部長に選ばれた時、少しだけ不安になった。

 去年よりも、私を見てくれる時間が減る。

 それが、なにより辛かった。

 それと同時に、先輩が部長として忙しい分、私が頑張らないとと思って必死に練習した。

 先生に褒められた時は、嬉しかった。

 先輩に褒められた時は、もっと嬉しかった。

 もっともっと頑張ろうって思えたから。

 でも、この関係もそろそろ終わる。


「俺たち3年って、来週で引退だよな……」


 来週、先輩たちは引退する。

 来週に控えている文化祭を終えたら、先輩がいなくなる。