3年6組の最後の1人が校門を出て、吹奏楽部は演奏を終了させる。
そして手際よく片付けをし、吹奏楽部も3年生が写真やら卒業アルバムにメッセージやらを書きあっている学校近くの広場に向かう。
本当は、広場には近づいてはいけないのだけれど。
3年生の先生方が吹奏楽部も来ていいですよ、って言ってくださったから。
私は、玄蔵先輩に最後の告白をしに向かう。
これで、告白は最後にしよう。
告白が上手くいかなかったら。
片想いのままで気持ちを抑えよう。
「玄蔵先輩!」
「優衣ちゃん」
玄蔵先輩の姿を見つけて急いで駆け寄る。
息を整えていると、玄蔵先輩が「そんなに急がなくてよかったのに」とクスクスと笑う。
「玄蔵先輩…卒業、おめでとうございます」
「ありがとう。優衣ちゃん」
「玄蔵先輩、さっき口パクで言ってたこと、ちゃんと言ってください」
「えっ?!言わなきゃダメなの?!」
「だって、玄蔵先輩いつも言ってたじゃないですか。『ちゃんと声に出さないと伝わらない』って」

