先輩に、いいところ見せないと。

 それで、その後にまた先輩に告白するんだ。

 体育館のドアが開く。

 3年1組からゆっくりと体育館から出てくる。

 顧問の先生の指揮に合わせて演奏を始める。

 フルートのソロから始まるこの卒業ソングは、涙を誘うのにはピッタリだ。

 大きな花束を持った3年1組の担任から吹奏楽部の前を通り過ぎる。

 それを最初に大粒の涙を流しながら吹奏楽部の前を次々と3年生が通っていく。

 先輩が前を通ると、必ず手を振ってくれる。

 振り返したい気持ちを抑えて、演奏に集中する。