セカンド·ワールド_

すると後ろから男の声がした

「もしかして迷いましたか?」
「え、あ……」

艶のある黒髪に大きな漆黒の二重の瞳

白い肌に赤い唇

男でも惚れてしまいそうなくらい綺麗な顔立ち

容姿からしてこの男は"純"の"風波一族"だ

身長が高いせいで同じ受験者なのかスタッフなのかが分からないな…

「はい、お恥ずかしいことで…」
「一・二五次試験ですか?僕も今からなんですよ。教室は何処ですか?」

受験者か

「D棟の8番です」
「ならこの建物を出て左手にありますよ」
「ありがとうございます」

めっちゃ近かったー!!

「いいな、近いですね。僕はF棟の20番教室なんですよ」
「遠そう…」

彼は気さくに俺に言った

関わりやすそうな人…

この人とずっと同じ学校に通って出会えなかったのが勿体ない

「では、お互い頑張りましょう!」

「はい」

お互い背を向け歩き出した

よかった、これで目的地にたどり着ける



あ、名前聞きそびれた

俺は慌てて振り返る

え、もう居ない…歩くの早いタイプなのか?

もう、俺、馬鹿かよ

礼くらいきちんとしたかった


だってこの試験は人生の指針となるものなのだから

そんな大切な時に助けてくれたのだ

感謝するイケメン君