君がいなくなったって【短編】

それから3年。


デートは2回だけ。どっちも中2の時。

水族館と、テーマパーク。

水族館で買ったお揃いのシャーペンも、テーマパークで買ったお揃いのキーホルダーも、使うのがもったいなくて飾ってある。

物に罪はないけど、帰ったら捨てよう。


テーマパークの帰りにプリクラ機を見つけて嫌がるヒロを半ば強制的に押し込んでとった、唯一のプリクラ。

引き出しにしまってたはず。あれも捨てよう。


スマホの写真ホルダーにあるヒロの写真。

たくさんありすぎてすぐには消せないけど、ゆっくり手放そう。

少しずつ、思い出にしよう。


こうやって思い返すと、楽しいこともあったけど、苦しいことのほうが多かった。

中3のときは、受験でお互いイライラしててよくケンカしたし。

高1になって、1ヶ月以上連絡を取らなかったこともあったし。

今だって、それでもやっぱり思い出すのは久しく見ていないヒロの笑顔で、それが苦しくて。


やっぱりまだ好きなんだって自覚して、バカだなぁとため息をついた。

別れを告げに来たのに、想いを再確認してどうする。そんなの、ただ辛くなるだけだ。


目を閉じて、ベンチに横になる。


ゆっくり、思い出にすればいい。


寂しい思いも、辛い思いも、愛しい思いも、全部。