ソロソロと、居間に入ると…。



チラッとあたしを見て、少し微笑んだ。


…俺は、送ってきただけだよ。


ヨシタカの声は、思いがけず優しかった。



みんなに、こんなに酔っちゃってるトウコを
責任もって、送り届けろって言われて。

まあ、言われなくても…そうしたけどさ。

家に入るなり、暑い暑いって、お前…
ポンポン脱ぎ出して、超ビックリしたよ。

ひっ。


あ、俺は見てないよ?
お前が静かになったのを、そっと見たら
ベッドに入ってたから。
落ちてるスーツかたして。

帰ろうと思ったんだけどさ…。

な、なによ?


お前…泣き出して…。

行かないでって。
やだって…泣くから…。


そ、そんな…。


俺に言ってるんじゃないのは、わかってた。

それでも…一人で置いて帰れなかったんだ。

…迷ったんだけどな。
ビックリさせるとは、思ったから。

悪かった。勝手に上がりこんで。


あんまり、素直に謝るもんだから…
怒るに怒れなくて。

迷惑かけちゃって…あたしもゴメン…。
送ってくれて、ありがとう。


明日会社なのに…。ほんと…ゴメン。


そんな、落ち込むなって。
荒れてるのわかってて、飲ませたのは
俺だし…。

酒強いのは知ってるけど…
今日は飲ませすぎたよ。
…気持ち悪くないか?

心配してる顔に嘘はない。
ヨシタカが、いいヤツなのは知ってる…。

大丈夫みたい。
ちょっと頭痛いかな…。

ま、あれだけ飲めばなぁ。と、微笑む。

大丈夫なら、水飲んで。早く寝な。
俺帰るよ。

ん。わかった。ありがとう。


玄関まで来て、見送ると。

あ、1つだけいい?と、振りかえった。