あの時、確かに私は孤独だった。


両親をあの日、一度に失った。
待っていたんだ、2人の帰りを、城で。
……1人で。

家政婦たちは、色々な手続きに大忙しだった。
それも終わると、城を出て行く者達が多かった。
その中で1人、残ったのは、同い年の詩杏(シアン)。
まだ私もしあんも6歳。
何も、わからない。

それから、しあんの両親に引き取られた。
しかし紅羽(クレハ)はどうしても、両親が経営していた魔法道具店のことが気がかりになっていた。
一度はやめたものの、絶対に大きくなったら再経営すると決めていた。


そのために、出会いを遂げた人がいる。
橘 諒(タチバナ アキ)だ。

くれはから近づいていったのではなく、
くれはが生まれた時から持ち合わせている強力な魔力に、
あきのほうが惹きつけられ、近づいてきた。

くれはは、誰のことも信じていなかった。
両親を失った辛さを忘れたくて、人を好きになる気持ちを、忘れ紙にのせて、まだ幼い頃、
自分の中から
消した。

しあんも、あきも、誰も信じていない。
それでも、隣にいてくれている人々には、感謝をしていた。