『…泣かないで…』 低いような高いような、声がわたしに語りかける。 嫌、嫌! 聞きたくない! 外からは犬の声。 吠えている犬の声だけに意識を集中させた。 『美和ちゃん…』 女の人が、わたしの名前を呼ぶ。 わたしの知ってる人…? 恐る恐る、女の人の顔を見ようとタオルケットを下げた瞬間、その女は嬉しそうに笑ったように見えた。 『きゃあぁぁぁっ!!!』 悲鳴を上げて、わたしの意識がだんだん遠くなる。 知らない女の人がそこにいた。 ・