微笑む女『短編』

 

女は冷蔵庫から、愛する男のために用意していたお酒を出して喉に流し込んだ。


急激に襲ってくる睡魔。


朦朧とする頭の中で、女はぼんやりと考える。


また、夢を見るのかしら?



美和ちゃんに呼び掛ける夢。


でも、今夜は優しい言葉をかけてあげられない気がした。


ふふふ…


女は軽く微笑んで長い髪をかき上げると、その細い体を睡魔に委ねる。




どこか遠くで、犬が鳴く声が聞こえた。









『完』