『具合悪いのか?』


新聞から顔を上げた父親がわたしに言った。


『夜、眠れなくて…』


朝食のパンをちぎりながら小さく答えた。


『…学校、休んでもいい?全然…寝ていなくて。』


父親は難しい顔をしてため息をついた。


『そうやって昼間寝るから夜眠れないんだ。』


『違うよ!違う!』


わたしは勢いよく椅子から立ち上がり声を上げた。


『最近、毎晩ね…女の人が、わたしの枕元に立ってるの。わたしの名前を呼ぶの。優しく笑ってるんだけど…本当は睨んでるの。』