翼の折れた鳥たちは

◇◇◇

「病棟に上がったら、話題なってたぞ。葵ちゃん」

お昼休憩に入ろうと、事務所に戻った私に目を細めながら部長が声をかける。

あぁ、朝の申し送りでのことか。

「賭けに負けたので仕方ないです」

私は口を尖らせながら自分のデスクに腰を下ろす。

部長には3日前、榎田さんもとい敦也くんが運動量を増やしたことも、車いす移動を3日間限定で目標に向かって取り組むことも報告済み。

もちろん、呼び方の条件のことだって相談済みだ。

だけど、まさか本当に目標を達成するなんて思ってもみなかったんだもん。

一昨日は、エレベーター降りたところで10時をとっくに過ぎてしまいタイムオーバー。

そして昨日、敦也くんは10時前にはリハビリ室にやってきた。

目標をやり遂げた達成感いっぱいの表情を浮かべて――