「頑張っているな、榎田くん」
病室の前までたどり着くと、病室のベッドで休んでいた太田さんが強面の笑顔で声をかけてくれる。
「ありがとうございます」
榎田さんも太田さんの言葉が嬉しかったらしく頬を綻ばせる。
「毎日、夕方一緒にテラスで自主トレしてるんだ。一ノ瀬さんも一緒に」
「そうなんですね。それで榎田さん、毎日どんどん車いす駆動が上手になってるんですね」
自主トレのことを教えてくれた太田さんが私の話を聞いて、「俺のおかげだと思えよ」と誇らしげな表情を浮かべる。
私は太田さんの表情が可笑しくて思わず吹き出してしまう。

