「榎田さんっ!!おはようございます!!」
勢い余って、いつもよりも大きな声が出てしまった。
私の声に、驚いたように一瞬身を強ばらせた榎田さんだったけど、一瞬口角をゆっくりと盛り上げて微笑むような表情を見せる。
ずっと動かしていなかった表情筋のせいなのか、その笑顔はなんだかとてもぎこちなかった。
だけど、榎田さんの背後の窓から射し込む朝日が、彼に降り注いでいたことも相まって、彼の笑顔がとても神聖で神々しいものに見えた。
「おはよう……」
自分の声を確かめる様に、ぽつりと一言だけ。
榎田さんが喋った。
信じられない。だけど、嬉しい。
心の奥底から嬉しさこみ上げてくる。

