「あっ、あの、部長!!私に榎田さんの治療プログラムや手技を教えてください」 思わず口を出た言葉に、部長がきょとんとした顔を一瞬見せたけど、すぐに柔らかな笑顔になる。 「もちろん」 「よろしくお願いします」 部長の快諾に私は頭を下げる。 「星原さん」 頭の上から穏やかな声色が降ってくる。 ゆっくりと頭を上げると、部長が目を細めて私を見つめている。 「星原さん、いい表情してる。理学療法士としてのいい表情だ」 それだけを言うと部長は、私の肩を2回ほど叩いて部屋を出て行った。