翼の折れた鳥たちは

「敦也くん!!おはよ」

私は敦也くんの病室に駆け込んだ。

「おっ……おはよう。葵ちゃん、こんな朝早くにどうしたの?しかも私服じゃん」

洗面台で顔を洗っていた敦也くんがタオルで吹きながら、呆気に取られた様子で私の全身を隅々まで視線を動かしてみる。


「今日退院でしょ?!リハビリ出来ないじゃん」

「そうだよ。それ昨日話したよね?」

「担当の理学療法士として、今日はリハビリできないんだから自主訓練を朝からテラスでしなさいって言いに来た」

「はっ?」

敦也くんは返す言葉を失ったように驚いている。

「いいから!!今日は最後なんだから、テラスで朝練して!!」

「ちょっ、ちょっと待ってよ!!葵ちゃん、俺意味わかんないんだけど」

完全に戸惑っている敦也くんに、私は言葉を探す。


「お願い、今から朝練して。私も屋上で朝練するから」


その言葉に、敦也くんが何かに気付いたみたいで小さく頷いたのだった。