翼の折れた鳥たちは


◇◇◇

ついにやってきてしまった。

誰も居ないリハビリ室のカーテンを開け放ったら、雲一つない青空が見える。


太陽の下が似合う敦也くんが退院することを待ちわびていたみたいだ。


「よしっ!!」

時間はまだ午前7時。

起床時間が過ぎて、きっと敦也くんだって朝食前の準備をしている時間のはず。


敦也くん、午前中に退院するって昨日嬉しそうに話していたんだった。

『明日はリハビリする時間もない。残念だなぁ』
なんて病室に様子を見に行ったら、退院の準備しながらわざとらしくため息を吐いてたんだった。


退院が待ち遠しくって、リハビリが出来なくて残念な雰囲気なんて微塵も感じなかったけど。

まぁ、そんなとこ敦也くんらしいや。

私は、敦也くんとの昨日のやり取りを思い返しながら病棟へと続く階段を駆け上がった。