「敦也くん、随分前のことになるけれど、リハビリの時に私に『歌手じゃなくて、理学療法士になって良かった?』 って聞いたこと覚えてる?」
「うん。なんとなく」
「あの時、私すごく曖昧な答えしか出来なかった。『まだ2年目だから』って言い訳にして答えられなかった」
さっきまでふざけた顔をしていた敦也くんの表情が一気に引き締まるのが分かる。
「本当はね、私ずっと悩んでたの。歌手を諦めきれずに、理学療法士になったこと。どっちも中途半端で、理学療法士としても向上心もないし、熱意もだんだん薄れてきていて、日々の生活のために仕事している感覚だった」
「うん」
「だからあの時の敦也くんの質問は、胸が痛かった。2年目だから答えられない質問なんじゃなくて、私の気持ちが中途半端だから答えられなかったの。ごめんなさい」
「うん。なんとなく」
「あの時、私すごく曖昧な答えしか出来なかった。『まだ2年目だから』って言い訳にして答えられなかった」
さっきまでふざけた顔をしていた敦也くんの表情が一気に引き締まるのが分かる。
「本当はね、私ずっと悩んでたの。歌手を諦めきれずに、理学療法士になったこと。どっちも中途半端で、理学療法士としても向上心もないし、熱意もだんだん薄れてきていて、日々の生活のために仕事している感覚だった」
「うん」
「だからあの時の敦也くんの質問は、胸が痛かった。2年目だから答えられない質問なんじゃなくて、私の気持ちが中途半端だから答えられなかったの。ごめんなさい」

