会釈してようやく気が付いた様子の部長もまた、なんだか気まずい表情を浮かべている。

「ちょっと私、部長の所に行ってきます」

三嶋さんにそれだけを告げると、私は足早に部長の下へと駆け出した。



「部長っ!!」

街灯なんてない、体育館から漏れた灯りだけが頼りの細い路地を逃げる様に帰ろうと歩いていた部長を追いかけて、呼び止める。

「部長もいらっしゃってたんですね」

軽く息切れを覚えた私が部長の背中に声をかけると、部長が振り返る。

「僕は星原さんが見に来ていないか確認しに来ただけだよ」

暗くて部長の表情なんて分からない。

だけど、別段私のことを責め立てる様子なんてなく、むしろ私から逃げようとした部長の様子からそんなこと嘘だってことはすぐに分かった。