「あっ、星原さん、見てくださいよ。噂をすれば何とかってやつです」
三嶋さんの声が頭から降ってきて、私はゆっくりと頭を上げて三嶋さんの指さした方に目を向ける。
体育館の小さな窓から、体育館の中を覗いている一人の男性の姿が見えた。
えっ?!ぶっ、部長……!!
思わず叫びそうになったけれど、私が見学に来ていることがバレたら一大事だと身を屈めて三嶋さんの陰に隠れようと試みる。
だけど、そんなことは無駄な抵抗で。
隠れようとした私と、三嶋さんを見つけて片手を挙げた部長の視線がぶつかった。
あぁ、もう終わりだ。
諦めにも似た感情が押し寄せて、私は隠れるという無駄な抵抗を止めて、小さく会釈したのだった。

