「榎田君、すごくいい表情してますよね」

私が視線を動かした方を三嶋さんも見ながら、嬉しそうに微笑む。

だってそこには、瞳をキラキラさせてまるで少年のような表情を浮かべた敦也くんが車いすを押しながらバスケに見入っていたから。


しかも、両手で抱きしめているように抱えているのはバスケットボール。
チカラくんや重光先生となにやら楽しそうに話をしながら、懸命にボールを視線で追っている。

「はい。とても楽しそうですね」

敦也くんの笑顔から視線を反らすことが出来ずに喋ったら、三嶋さんがかすかに笑った。

「僕、榎田君の将来に少し役立つことが出来ましたかね?」


三嶋さんの言葉に私は思わず三嶋さんを見つめた。