「えっ?」

敦也くんの話の意図が分からなくって聞き返す。

「俺が外の世界に飛び出すのを怖いって思っていることと同じで、葵ちゃんだって新しい世界に飛び込むのが怖いんだよ」

「そっ、そんなんじゃ……」


「今の俺も葵ちゃんも、翼の折れた鳥みたいだね。飛び出したい気持ちはあるのに、飛べないんだよ」

敦也くんが真っすぐに私を見つめながら、思いをぶつけてくる。

「あっ!!でも、俺と葵ちゃんの決定的に違う所。俺は翼が折れてる。いつか飛びたいと思ったとしても、もう翼は生えてこない。だけど、葵ちゃんは俺とは違う。翼は折れていないんだ。折れているって諦めて飛ばないだけだよ」

私の鼻奥がツンとする。
目頭が熱くなってくるのが分かって、視線を反らして必死に涙を堪えた。