翼の折れた鳥たちは


歩くための長下肢装具が出来ることを一番心待ちにしていたのは、明らかに敦也くんだって知っていた。

だけど、午後から届いた長下肢装具を試着する時だって敦也くんの表情は曇ったままだった。


♪悲しみを抱く 君の涙は 僕がすくいたい  
 希望を無くした 君の光に 僕がなりたい
 淋しさも 悲しみも 苦しみも 残らないよう
 優しい唄を 君に届けたい


今日は金曜日。
一週間の終わりに濃いオレンジ色に染まった空が少しずつ闇に包まれていく。

1年ほど前に作った歌を屋上で歌う。
きっとテラスで聞いているはずの敦也くんに。

リハビリの時間に敦也くんを元気にする言葉をかけることが出来なかったから。

敦也くんに少しでも私の気持ちが届きますように。

それだけを願った。