重たい空気が2人の間に流れる。

「星原さん……」

きっと私が敦也くんと2人で話し込んでいたせいだろう。
部長が事務所から出てきて、リハビリ室の出入り口から私に声をかける。

「あっ、部長!!」

救世主、現る。

私は、部長に近寄るとすぐに敦也くんの質問とその経緯を説明する。

部長はしばらく難しい顔して考え込んでいたけれど、何かいい答えが見つかったのかゆっくりと足を進めて敦也くんに近づき、敦也くんの隣に座り込んだ。

「敦也くんは、その質問をどうしてドクターではなく星原さんに尋ねたんだい?」

部長の声色は優しくて、別段敦也くんを責め立てている雰囲気ではない。

私はということ、敦也くんと部長の男同士の会話を聞いてもいいものかと悩みながら、つかず離れずの距離で見守っている。