翼の折れた鳥たちは

「俺、最近車いすで移動することは自分でも上達している実感があったんだ。だけど、車いすの乗り移りもそうだけど、トイレだとか風呂だとか手伝ってもらわないと出来ないことが多すぎて……」

敦也くんの重たい溜息が私の心に苦しく響く。

「もし俺が自分に残された機能をスーパーノーマルに出来たら、葵ちゃんが前に言ったみたいに、世界は広がるかなぁ?」

「もっ、もちろんだよ!!敦也くん!!」

不安気な瞳をかすかに揺らしながら私に尋ねた敦也くんに私は彼の不安を払しょくしたくて底抜けに明るい笑顔を見せてそう伝える。

「そっか。なんか、ちょっと光見えた気がする」

敦也くんは、少し頬を赤らめてはにかむようにして笑った。