翼の折れた鳥たちは

「学生の時、何かの授業で習ったの。敦也くんみたいに脊髄損傷だったり、いろんな病気で障害を負ってしまった時、私たち理学療法士が出来ることの1つは障害された部位への機能改善するためのリハビリ」

敦也くんは私の話を、真剣な表情で聞いている。

「もう一つが、障害されてない機能を、通常のノーマルレベルからスーパーノーマルレベルに向上させて、障害された部位の代替として活用できるようにするためのリハビリ。つまり、敦也くんの場合、両腕で両足の代わりが出来る様に両腕をスーパーノーマルにするってこと」


「なるほど。それ、いいな」

整った表情を崩して笑いながら、敦也くんが納得するように何度も『スーパーノーマル』という言葉を繰り返す。