翼の折れた鳥たちは

「プッシュアップ、葵ちゃん出来る?」

「えっ?」

瞳を煌めかせて私に尋ねた敦也くんに、思わず素っ頓狂な返事をしながら首を何度も横に振る。

「だよなぁ。俺もこんなこと怪我する前出来なかったよ」

敦也くんが見たことない位に興奮している様子が伝わってくる。

「怪我する前に出来なかったことが、出来る様になるんだ。それって、なんかすごくない?」

鼻息荒く私に話し続ける敦也くんに押され気味になりながら、私は学生の頃に習ったある1つの単語を呟いた。

「スーパーノーマルってやつだよね?」

「スーパーノーマル?」

敦也くんが身を乗り出すようにして、その単語を繰り返す。