「そう。俺、高校の頃、バスケしてて……」

バスケ……。確かに長身の敦也くんだから、バスケをしている姿が簡単にイメージすることが出来る。

敦也くんが走って、跳んで、シュートを決めているところ。
すぐに想像できる。


「これでも結構上手かったんだよ。選抜に選ばれたりしてさ。でも、インターハイ前に怪我した」

「もしかして、左ひざ?」

敦也くんは小さく首を縦に振る。
リハビリをしている時に、気になっていた左ひざの古傷。

やっぱり、そうだったんだ。

「やっぱり葵ちゃん分かってたんだね。左ひざ、靱帯断裂してオペしたんだ」

敦也くんが高校時代の想い出を懐かしむように、その傷を優しく撫でた。