「そ、そんなことないよ」

「そんなことあるって!!」

自作の歌を褒められることなんてほとんどないから、なんだかくすぐったくって口にした言葉を敦也くんは真剣な顔して否定する。

「俺、昨日の夕方は結構落ち込んでたんだ。だけど、いつもみたいにテラスに出てたら葵ちゃんの歌が降ってきた」

「うん」

「葵ちゃんの歌には力がある。俺は葵ちゃんの歌を聞いてたら、また明日から頑張ろうって思えたよ」


胸が震える。

「だから、今日俺はこうしてまた笑ってここに来ることが出来た」

照れ笑いをして見せた敦也くんと一瞬視線がかち合った時に、鼻の奥がツンとした。