かける言葉を見つけることが出来なかった。


理学療法士としても、人間としても、私にもっと力があればいいのに。

敦也くんをどうにかして支えたい。力になりたい。

そう思うのに、こんな時私は何が出来るんだろう。


元気を取り戻してきていると思っていた敦也くんの心の奥を垣間見た気がした。



屋上で見るその日の夕焼けは、薄墨を混ぜたようななんだか重苦しい色をしていた。

まだ、歌詞のない唄を、メロディーに乗せてハミングで歌う。

つい最近、ようやく完成した曲を初めて屋上で歌った。


重たい色した夕焼けに、ゆっくりと歌が溶けていく気がした。