翼の折れた鳥たちは

「ゆっくり、考えていいから。だけど星原さんが後悔しないように選びなさい。そして選んだことを熱心に取り組むことだな」

部長の口調はさっきと比べるととても穏やかだ。

「期待しているよ」

私の肩を2度ほど叩き、部長は会議室を後にした。

残された私は、シンと静まり返った会議室でうなだれてしまった。

私、一体どうすればいいのだろう。

「理学療法士」か、それとも「歌手」か。

そんなの理学療法士に決まっているのに、それでも心が大きく揺らいでいる。
歌手はとっくに諦めた。
だけど、唄うことを辞めたくなんてない。


私は悶々としながら、屋上へと向かって会議室を出たのだった。