ガラスの靴




帰らないなら私が早く会議室から出たらいいんだけど任された資料整理があるからすぐに出られない。



黙々と整理をしてまとめ終わった私は「お疲れ様です」と声をかけて何もなかったかのように出ようとした。



「加奈っ」


そう言って掴まれた腕。



私の耳に心地のいい声が会議室に響く。


大好きだった彼の声。


優しくて、一緒にいると落ち着いて。


だった、だなんて嘘。



自分が不倫相手だったってわかった今でも変わらず彼のことが好きな私に呆れる。