ツカツカと近づいて来た一ノ瀬さんは私のデスクに軽くもたれる。 顔がいい男は何をしても絵になる。 「俺さ、彼女とうまくいってねぇんだわ」 「は…?」 いきなり恋愛相談?話の意図が見えない。 「そうなんですか。それは頑張ってください」 これしか言うことはないだろう。 こんなこと話している時間があるんだったら彼女さんとの時間に使った方がよっぽどいいんじゃないだろうか。 私はコートを着てカバンを肩にかけて、「ではお先です」と声をかけてオフィスを出る。 いや、出ようとした。