一方エリアルは、自分の部屋に向かってくる足音を、 敏感に感じていた。 一つは歩き方の癖から、孝だとすぐに分かった。 一応、足音を忍ばせているものの、 吸血鬼には簡単に分かってしまう音の域なのだ。 もう一つは、見事なものだった。 人間だったら、例え訓練した殺し屋だって聞き取れないだろう。 人間だったら……。 エリアルは、自嘲した。 人間だったら、誰からも狙われなくて済むのに。 弱くたって命を大切に、精一杯生きられるのに。