自分の人生なんて、こんなもんだ。

そう、諦めることにした。

自棄を起こした、というのも否定出来なかった。

スキーのコースを外れて、危険だと言われているこの山に、

勝手に侵入したのは自分だ。自業自得というものだ。
 
それに、帰りたい場所も無かった。

自分が本当に欲しいものは、もう手に届かない。

最後に、死んでしまった両親の顔だけが頭に浮かんだ。

 
だから、自分の背中をそっと揺らし、

心配そうに見つめる白いワンピースの少女は、


自分を迎えに来た天使なのだと思った。


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