姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③




「雪妖は……熱さにめちゃくちゃに弱いですよ……

これ以上体温上がったら、熱中症起こしちゃうかもです……」

「既に起こしてるんじゃないですか……?」

「頭……痛い……です」

 
雪絵は、ばったりと倒れた。

「わ―――っ!」
 
そうこうしている間にも、キックボードの不吉なローラー音は響いて来る。

「雪絵さん、止まっちゃったら追い付かれちゃうよ……!」
 
孝は焦って言ったが、それに対し雪絵は若干恨みがましそうに呟いた。

「……悟り開いたような顔して、涼しく走ってる君に言われたってですね……」

「俺だって、そんな楽に走ってないよ!?」

 
――ガーッガーッガーッガーッガーッ!

(やべっ……来る!)
 
孝はとりあえず、雪絵の肩を支えつつ進んだ。

本当は、あまり他人に構うほどの体力は彼にも残っていなかったのだが、

雪絵を捨てて行くという選択肢は、最初から孝の中に存在していないのだった。
 
建物の間の裏道を抜けると、開けた場所に出た。
 
目の前は、海だった。
 

そこは、公園のような広場だった。