「雪妖は……熱さにめちゃくちゃに弱いですよ……
これ以上体温上がったら、熱中症起こしちゃうかもです……」
「既に起こしてるんじゃないですか……?」
「頭……痛い……です」
雪絵は、ばったりと倒れた。
「わ―――っ!」
そうこうしている間にも、キックボードの不吉なローラー音は響いて来る。
「雪絵さん、止まっちゃったら追い付かれちゃうよ……!」
孝は焦って言ったが、それに対し雪絵は若干恨みがましそうに呟いた。
「……悟り開いたような顔して、涼しく走ってる君に言われたってですね……」
「俺だって、そんな楽に走ってないよ!?」
――ガーッガーッガーッガーッガーッ!
(やべっ……来る!)
孝はとりあえず、雪絵の肩を支えつつ進んだ。
本当は、あまり他人に構うほどの体力は彼にも残っていなかったのだが、
雪絵を捨てて行くという選択肢は、最初から孝の中に存在していないのだった。
建物の間の裏道を抜けると、開けた場所に出た。
目の前は、海だった。
そこは、公園のような広場だった。



