「きゃあああああ!」
「うぐぇっ……――!」
が、咄嗟に振り上げた小夜子の脚、
――しかも踵が、銀司の喉元にヒットした。
てっきりビンタが来ると、……か弱い女の子が、
まさか足で反撃してくるとは思っていなかった銀司は、まともに食らってしまった。
考えてみれば、小夜子はビンタであるべき時に、平気で拳骨を繰り出してくるような女だったが、
彼はそれを忘れていたのである。
彼が咳き込んでいるうちに、小夜子はさっさと銀司の下から逃げ出し、少し離れた場所まで移動した。
「ゲホッ……待て、コラ……!」
銀司は今度こそ、と思い念を入れて狼の姿になって、小夜子に飛びかかった。
小夜子は避けようとしたが、屋根の窪みに足をとられ、尻もちをついた。



