姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③




「きゃあああああ!」

「うぐぇっ……――!」

が、咄嗟に振り上げた小夜子の脚、


――しかも踵が、銀司の喉元にヒットした。
 

てっきりビンタが来ると、……か弱い女の子が、

まさか足で反撃してくるとは思っていなかった銀司は、まともに食らってしまった。


考えてみれば、小夜子はビンタであるべき時に、平気で拳骨を繰り出してくるような女だったが、

彼はそれを忘れていたのである。
 

彼が咳き込んでいるうちに、小夜子はさっさと銀司の下から逃げ出し、少し離れた場所まで移動した。


「ゲホッ……待て、コラ……!」
 
銀司は今度こそ、と思い念を入れて狼の姿になって、小夜子に飛びかかった。
 
小夜子は避けようとしたが、屋根の窪みに足をとられ、尻もちをついた。